「残業が多いから転職したい」──これ、思っている人は本当に多いです。というか、当たり前です。毎日遅くまで働いて、家に帰ったら寝るだけ。休日も疲れが抜けなくて、気づいたら一週間が終わる。そんな生活が続いたら、誰だって「このままでいいのかな」と思います。
ただ、ここで多くの人が同じ壁にぶつかります。
それは「残業が多いって言ったら、根性なしに見えるんじゃないか」「楽したいだけだと思われるんじゃないか」という不安です。
安心してください。残業が多いことを理由にしても、伝え方さえ整えれば、むしろ好印象になります。ポイントは、“残業が嫌”で終わらせず、「長く成果を出すために、働き方を見直した」という話にすることです。
この記事では、残業を転職理由にするときに、どう言えば前向きに伝わるのかを、できるだけ平易な言葉でまとめます。途中で僕の体験談も増量で入れます。読む人が「じゃあ自分はこう言えばいいのか」と思えるように、一緒に整理していきましょう。
「残業が多い」が危なく見えるのは、言葉が短すぎるから

残業が多い、だけを言うと、面接官の頭の中にこういう疑問が生まれます。
「うちも繁忙期は残業あるけど大丈夫?」
「この人は忙しいのが苦手なのかな?」
「仕事量の調整や段取りを工夫できない人なのかな?」
つまり、残業という言葉が、勝手に“根性”や“耐性”の話に変換されてしまうんです。けれどあなたが言いたいのは、根性の話じゃないはずです。
多くの人が本当に言いたいのは、こういうことです。
「残業が多くて、生活が壊れた」
「学習やスキルアップの時間がなくなった」
「仕事の進め方が非効率で、改善の余地があると感じた」
「長期的に続けるには、働き方を整える必要がある」
これ、全部“まともな理由”です。ただ、言葉が短いままだと伝わりません。だから、残業を理由にするなら、まずは残業=嫌から一歩進めて、「何が困って、何を大事にしたいのか」を言葉にする必要があります。
まずは「残業の何が問題だったのか」をはっきりさせよう

たとえば、残業が多い理由が「繁忙期だけ」なら、転職しなくても改善できることもあります。一方で、毎日残業が当たり前で、しかも理由が“段取り不足”や“属人的な運用”なら、それは構造の問題です。
あなたのケースはどれに近いでしょうか。
仕事量が単純に多すぎたのか。
人が足りないのか。
仕事のやり方が非効率なのか。
突発対応が多いのか。
上司の方針で帰れない空気があるのか。
評価が「長くいる人が頑張ってる」になっているのか。
この中身を一つに絞るだけで、転職理由は一気に話しやすくなります。なぜなら、「残業が多い」が“働き方の構造”の話になるからです。
面接官に伝えたいのは、「楽したい」ではなく、「成果を出すために、働き方を整えたい」です。そのために、残業を“問題の症状”として説明できると強いです。
僕の一言(体験談:残業の話を雑にして失敗した話・増量版)

当時の職場は、毎日遅かったです。繁忙期だけじゃなく、平常運転で遅い。定時が18時なのに、気づけば21時。帰宅は22時すぎ。そこから食べて風呂入って寝るだけ。土日も「月曜が来るのが怖い」と感じるようになっていました。
ただ、当時の僕は、転職理由を深く考えていませんでした。面接で聞かれたら、「残業が多くてプライベートの時間が取れないので」と言えばいいと思っていたんです。事実だし、分かりやすいし、正直だし。
でも面接でそれを言った瞬間、面接官がこう返してきました。
「当社も繁忙期は21時くらいまで残る日がありますが、その点はいかがですか?」
その一言で、僕の頭が真っ白になりました。僕が嫌だったのは「21時まで残る日がある」ことそのものじゃなかったんです。嫌だったのは、毎日遅いのに、遅い理由が“改善されないこと”。そして遅くなるほどミスが増えて、さらに遅くなる、みたいな消耗のループでした。
でもその場ではうまく言えず、焦ってこう言ってしまいました。
「いえ、繁忙期なら仕方ないと思います。ただ、前職は常に…」
ここから先が、完全に愚痴っぽくなってしまったんです。面接官の表情が少しずつ固くなるのが分かりました。たぶん相手の頭の中では、「この人は忙しいのが嫌なんだな」「うちでも同じこと言うかも」という印象が強くなっていったと思います。
面接の帰り道、駅のホームでぼーっとしながら、「俺、何が言いたかったんだっけ」と思いました。残業が嫌、だけじゃない。
「長く働くために働き方を整えたい」
「成果を出しながら成長も続けたい」
本当はそこを話したかったのに、言葉が整っていなかったから、ただの不満みたいになってしまったんです。
そこから僕は、ノートに書き出しました。残業が多くて困ったこと。生活で起きた変化。ミスが増えた理由。改善提案が通らなかった理由。書いていくうちに分かったのは、残業の問題というより、仕事の設計が“長く成果を出す形”になっていなかったということでした。
それを次の面接ではこう言い換えました。
「長時間労働が続き、体力面と成長の両立が難しくなっていました。業務効率の改善提案も行いましたが、仕組みとして定着させるのが難しい環境でした。今後は、業務時間内で成果を出す工夫をしながら、継続的にスキルを伸ばせる環境で働きたいと考え、転職を決意しました。」
同じ「残業が多い」でも、伝わり方が全然違うんです。ここで僕はやっと、「残業の話は、根性の話じゃなくて“持続性”と“改善”の話にした方がいい」と腹落ちしました。
残業を“前向き”に言い換えるコツは「価値観」に変えること

やることは一つです。残業という事実を、「自分が大事にしたい価値観」に変換する。
たとえば、こうです。
「残業が多い」→「業務時間内で成果を出す働き方を磨きたい」
「疲れて勉強できない」→「学習と実務を両立して成長したい」
「突発が多くて毎日遅い」→「計画性を持って改善を積み上げたい」
「帰れない空気がある」→「役割と期待値が明確で、効率を評価する文化で働きたい」
この変換ができると、残業の話は“逃げ”ではなく、“自分の働き方の軸”になります。面接官も「この人は楽をしたいんじゃなくて、長く成果を出したいんだな」と受け取りやすくなります。
面接で使える整え方は「結論 → 理由 → 工夫 → 未来」

最初に結論を短く言います。次に事実を一つだけ添えます。そのあとに、自分なりに工夫したことを入れます。最後に未来で締めます。
たとえば、こういう形です。
「働き方を見直し、長期的に成果を出せる環境で働きたいと考え、転職を決意しました。」
「前職では長時間労働が常態化し、業務の繁閑に関わらず遅くなる状況が続いていました。」
「自分なりに優先順位付けや業務の見える化など改善を試みましたが、仕組みとして定着させるのが難しい面がありました。」
「今後は業務時間内で成果を出す工夫を重ねながら、学習と実務を両立して成長していきたいと考えています。」
ここまで言えると、残業の話が“愚痴”に見えにくくなります。ポイントは、工夫の一文です。これがあるだけで、「この人は他責じゃなく、考えて動ける人だ」と伝わります。
書類での書き方:履歴書は短く、職務経歴書はストーリーで

履歴書に書くときの考え方
履歴書はスペースが少ないので、長く書く必要はありません。ただ、「一身上の都合」だけだと何も伝わらないので、二行くらいで“価値観”を出すと強いです。
例としては、こんな雰囲気です。
「長時間労働が続き、働き方を見直したいと考えました。業務時間内で成果を出しながら、継続的にスキルを伸ばせる環境を求め転職を決意しました。」
職務経歴書に書くときの考え方
職務経歴書は「どんな仕事をして、なぜそう感じ、どう変わりたいのか」をストーリーにできます。残業が多い、を単体で書くより、仕事の中身とつなげると説得力が出ます。
「○○業務を担当し、繁忙期の波が大きい中で品質と納期を守ってきました。一方で長時間労働が常態化し、改善提案や業務効率化を行ったものの、運用として定着させるのが難しい面がありました。今後は、効率化や改善が評価される環境で、業務時間内で成果を出す働き方を磨きつつ、長期的にキャリアを築きたいと考えています。」
こう書くと、残業の話が「不満」ではなく「改善と持続性の話」になります。
面接で深掘りされたときの“崩れない返し方”

残業を理由にすると、面接官は高確率でこう聞きます。
「うちも残業あるけど大丈夫?」
この質問、怖いですよね。でもここはチャンスです。答え方はこうです。
「残業ゼロがいい」ではなく、「どんな状態がきつくて、どんな状態なら頑張れるのか」を言う。
たとえば、こう返せます。
「繁忙期の残業自体は必要だと思っています。私が見直したかったのは、長時間労働が常態化して改善が進みにくい状態でした。業務の波がある中でも、優先順位付けや仕組み化で業務時間内の生産性を高め、結果として残業を抑える取り組みに関われる環境で力を発揮したいと考えています。」
これなら、現実を理解している人に見えます。しかも「改善する側に回りたい」という前向きさが出ます。
NG例:言わないほうがいい“残業理由”の形

残業が多いこと自体は問題じゃありません。危ないのは、言い方です。
「残業が嫌なので辞めました」
「プライベートを優先したいので」
「早く帰れる会社がいいです」
これ、言葉としては分かるんですが、面接官の頭の中で「忙しいのが苦手」というラベルに変換されやすいです。伝えたいのがそこじゃないなら、言い方を変えたほうが損しません。
代わりに、こういう方向へ寄せると安全です。
「長期的に成果を出すための働き方を整えたい」
「業務時間内で成果を出す工夫を磨きたい」
「学習と実務を両立して成長したい」
同じ内容でも、受け取られ方が変わります。
まとめ:残業が理由の転職は“甘え”ではなく、働き方を整える判断
残業が多いから転職したい。それは逃げではなく、長く働くための判断です。
大事なのは、「残業が嫌」で止めずに、
「だから自分は何を大事にしたいのか」
「だから次はどんな環境で成果を出したいのか」
ここまで言葉にすることです。
あなたが今、疲れていて言葉が出ないなら、それは弱さじゃなくて、整理が追いついていないだけです。まずは「残業が多いことで、何が困っているのか」から書き出してみてください。そこから価値観に変えていけば、ちゃんと面接で使える言葉になります。


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