転職理由が思いつかない人へ。言葉が出ないときの原因と、詰まった頭をほどく方法

転職理由

「転職理由を教えてください」
この一言を見ただけで、手が止まる。頭が白くなる。
そして、スマホを置いてため息をつく。

転職活動をしていると、こういう瞬間って本当にあります。むしろ、かなり多くの人がここで立ち止まります。
転職サイトの入力欄にカーソルが点滅しているだけで、なぜか責められているような気持ちになる。面接の練習をしようとしても、言葉が出ない。結局「キャリアアップのため」とか「新しいことに挑戦したくて」とか、どこかで見たテンプレを貼り付けてしまう。でも自分でもしっくりこないから、書いている途中でまた止まる。

この記事は、そんな「転職理由が思いつかない」という状態の人のために書きます。
やる気がないわけでも、能力がないわけでもありません。むしろ、真面目な人ほど詰まります。
だからこそ、焦らなくて大丈夫です。ここでは、転職理由が出てこない原因をほどきながら、言葉にしていくための方法を、できるだけ平易な言葉で説明していきます。途中で、僕自身の「何も言えなかった体験談」も増量版で入れていきます。

読み終わるころには、「あ、こうやって言葉にすればいいのか」という道筋が見えるはずです。急がなくていいので、一緒に整理していきましょう。

なぜ転職理由が思いつかないのか。まずは原因を疑ってみる

転職理由が思いつかず悩んでいる表情のビジネスパーソンの写真イメージ

転職理由が思いつかないとき、よくある勘違いがあります。
それは「転職理由がない=転職しちゃダメ」という発想です。

でも実際は、転職理由がないのではなく、「言葉の形にできていない」ことがほとんどです。理由そのものは、あなたの中にもうあります。ただ、うまく取り出せていないだけです。

特に多い原因は、次のようなものです。

まず一つ目は、「本音を言ってはいけない」と思い込んでいることです。
本音を言ったら落ちる。ネガティブな理由を言ったら嫌われる。だから正解っぽい言い方を探す。でも探しても探しても、自分の中にしっくり来ない。結果、言葉が詰まって止まります。

二つ目は、「理由を一つに決めなきゃいけない」と思い込んでいることです。
本当は、転職の理由って一つじゃないことが多いです。残業も気になるし、給料も気になるし、将来の不安もあるし、人間関係も少ししんどい。全部ある。なのに「一番の理由は何ですか」と言われると、決めきれなくて固まります。

三つ目は、「自分が何を望んでいるのかが、まだ言語化できていない」ことです。
これも当たり前です。普段の生活で「自分が大事にしたい価値観」を言葉にする機会って少ないですよね。いきなり面接で言えと言われても無理があります。

ここまで読んで、「あ、全部当てはまるかも」と思ったなら、あなたは正常です。
むしろ、ちゃんと考えようとしているから詰まっています。雑に答える人の方が、逆に危ないです。

「転職理由」は、立派な言葉じゃなくていい

ノートに感情のメモを書き出して転職理由の整理をしている手元の写真イメージ

転職理由が思いつかない人は、最初から「ちゃんとした理由」を作ろうとしがちです。
でも、いきなり立派な言葉にする必要はありません。

最初は、かなり雑でOKです。むしろ雑でいいから出してみる。
「しんどい」
「このままだと不安」
「もっと評価されたい」
「休みが欲しい」
「人間関係が疲れる」
「成長してる気がしない」

まずはこのレベルの“感情のメモ”で十分です。
ここから先で、面接用の言葉に整えていけばいいんです。

大事なのは、「自分の中で、本当に起きていること」をつかむことです。
面接官に見せる前に、まず自分が理解できていることが必要です。ここが曖昧だと、どんなに綺麗な言葉を使っても、自分の中でしっくり来ません。

僕の一言(本音が出せず、言葉が消えた面接の話:増量版)

面接で転職理由をうまく言えず言葉に詰まってしまうビジネスパーソンの写真イメージ

僕も転職理由が思いつかず、長い時間ハマったことがあります。しかも一番ダメな形で。

当時の僕は、とにかく「本音は言っちゃダメだ」と思い込んでいました。
本音はネガティブで、言えば嫌われる。だから「前向きな理由」を用意しないといけない。そう思って、ネットで例文を読み漁りました。

「キャリアアップのため」
「新しい環境で挑戦したい」
「より幅広い業務に携わりたい」

どれも、言葉としては綺麗です。
でも、僕の中では全然しっくり来ませんでした。なぜなら、本音が別にあったからです。

本当は、疲れていました。
残業が増えて、家に帰ると何もできない。休日も仕事のことが頭から離れない。
そして一番きつかったのは、「頑張っても報われる感じがしない」ことでした。評価の基準が曖昧で、上司の気分で空気が変わる。自分の努力が積み上がっていく感覚がなくて、少しずつ心がすり減っていたんです。

でも当時の僕は、その本音を「言ってはいけないもの」として押し込めました。
その代わりに、誰かの正解っぽい言葉を借りて、面接に行ったわけです。

面接官に「転職理由を教えてください」と言われた瞬間、僕は準備していたはずの言葉を、なぜかうまく言えませんでした。
頭の中では文章があるのに、口から出てこない。というか、出した瞬間に自分でも嘘だと分かるから、体が止まるんです。

結局、「キャリアアップのためです」とだけ言って、沈黙しました。
面接官は優しく「具体的には、どういうキャリアアップをイメージされていますか?」と聞いてくれました。

その次の瞬間、僕の中で一番の問題が露出しました。
僕は、キャリアアップをちゃんとイメージしていなかったんです。
本当は「この環境から逃げたい」が先で、「その先どうしたいか」は言葉になっていなかった。

焦って、適当なことを言いました。
「よりスキルを高めて…」
「幅広い業務に…」
自分でも何を言ってるのか分からない言葉が出てきて、面接官の表情が少しずつ曇っていくのが分かりました。

面接の帰り道、駅のホームで、ものすごく情けなくなりました。
「なんでちゃんと話せないんだ」
「自分は何をしたいんだ」
「転職する資格がないのかもしれない」
そんなふうに思ってしまったんです。

でも後から冷静に振り返ると、資格がないわけじゃない。
ただ、“本音を言語化する”という一番の作業をすっ飛ばして、「正解っぽい言葉」を探していただけでした。
自分の中の材料が整理されていないのに、いきなり完成品だけ作ろうとしていた。そりゃ無理です。

この経験があってから、僕は転職理由を作る順番を変えました。
まずは本音を出す。次に、それを「相手に伝わる言葉」に整える。
この順番にしただけで、面接の言葉が驚くほど出やすくなりました。

転職理由が出ないときは「困っていること」を先に言葉にする

ノートに困っていることを書き出して転職理由を整理している手元の写真イメージ

ここから、具体的に「言葉にする方法」を紹介します。
最初にやってほしいのは、「転職したい理由」ではなく、「今、困っていること」を言葉にすることです。

転職理由が出ない人は、「転職」という未来の話をいきなり作ろうとします。
でも未来の話は、材料がないと作れません。材料は今の生活にあります。だから順番を逆にします。

たとえば、今の仕事で困っていることは何ですか。
「残業が多い」
「給料が低い」
「評価が曖昧」
「仕事が合わない」
「人間関係がしんどい」
「勤務地や通勤がきつい」
「将来性が不安」

こういう“困りごと”は、実は言いやすいはずです。
ここが書けるだけで、転職理由の材料が集まってきます。

そして次に、その困りごとを「価値観」に変換します。
残業が多い → 生活のリズムを整えて働きたい
給料が低い → 成果が報われる環境で働きたい
評価が曖昧 → 役割と評価が明確な職場がいい
仕事が合わない → 強みを活かせる領域で働きたい
人間関係がしんどい → 意見交換ができるチームで働きたい
通勤がきつい → 生活と仕事のバランスを保ちたい
将来性が不安 → 成長領域でスキルを積みたい

この変換ができると、ネガティブな話が「自分が大事にしたいこと」に変わります。
転職理由が一気に前向きになります。

「理由が多すぎて決められない」人は、順番をつけなくていい

転職理由が多すぎて整理できず、ノートに書き出して流れを整えている手元の写真イメージ

転職理由が思いつかない人の中には、逆に「理由が多すぎてまとまらない」人もいます。
このタイプの人は、「一番の理由」を決めようとして止まります。

でも、決めなくていいです。
最初は複数あって当然です。むしろ自然です。

面接では、話す順番を整えるだけでOKです。
たとえば、「残業が多くて体調面が不安になり、長く働くために働き方を見直したいと考えました。そのうえで、業務時間内で成果を出しながらスキルを伸ばせる環境を求め、転職を決意しました」というように、一本の流れにすればいい。

理由を一つに削るのではなく、「つながる形にする」。
これがポイントです。

僕の一言(転職理由が見つかった瞬間:増量版)

僕が転職理由を言えるようになったきっかけは、意外と単純でした。
ある日、帰宅してスーツを脱いだ瞬間に、ふとこう思ったんです。

「今日も、何も残らなかったな」

その日も忙しくて、電話して、メールして、謝って、調整して、残業して。
なのに、家に帰ると「今日、何を積み上げたんだっけ?」という感覚しか残らない。
達成感がない。成長している感じがしない。頑張った気がするのに、自分の中に何も残らない。

この感覚を、ノートにそのまま書きました。
「何も残らないのが怖い」
「このまま10年経ったらどうなるんだろう」
「もっと積み上がる仕事がしたい」

その数行を書いた瞬間、転職理由の芯が見えました。
僕にとっての転職理由は、残業でも給料でも上司でもなく、結局は「積み上がる感覚が欲しい」だったんです。

そこから先は早かったです。
面接で話す言葉に整えるときも、「自分は、積み上げが見える環境で働きたい」という一本の軸があるから、話がブレなくなる。
面接官に深掘りされても、「なぜそう思ったのか」を自分の体験として話せる。

結局、転職理由って「派手な言葉」じゃなくて、「自分が怖いと感じたこと」「大事だと感じたこと」から生まれるんだな、とそのとき実感しました。

面接で使える形に整えるコツは「結論→理由→学び→未来」

ノートに『結論→理由→学び→未来』の流れで整理しながら書き出している手元の写真イメージ

最後に、言葉がまとまりにくい人のために、整え方の型も置いておきます。
これは記事1でも触れた「結論→理由→学び→未来」の形です。

結論は短く。「働き方を見直したい」「評価の明確な環境で挑戦したい」など。
理由は事実を一つ。残業、評価、業務の幅、組織文化など。
学びは「自分は何を大事にしたいと気づいたか」。
未来は「だから次はどんな環境で働きたいか」。

この型があると、言葉が迷子になりにくいです。
本音のメモをこの型に当てはめるだけで、面接用の文章になります。

まとめ:転職理由が思いつかないのは、弱さじゃなく「整理の途中」

転職理由を整理しながらノートに書き出している手元の写真イメージ

転職理由が思いつかないとき、人は自分を責めがちです。
でも本当は、理由がないわけじゃない。言葉にできていないだけです。

まずは「困っていること」を書く。
そこから「自分が大事にしたい価値観」に変換する。
理由が複数あるなら、削るのではなく、つなげる。
最後に、結論→理由→学び→未来の形で整える。

この順番でやれば、必ず言葉は出てきます。
そして、その言葉はテンプレよりずっと強い。なぜなら、あなた自身の経験から生まれているからです。

今はまだ整理の途中です。だから焦らなくて大丈夫。
少しずつ言葉にしていけば、転職理由は「面接を通すための答え」ではなく、「これからの自分を守るためのコンパス」になってくれます。

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